浦和地方裁判所 平成3年(わ)403号 判決 1991年12月20日
本店所在地
埼玉県浦和市白幡六丁目一四番一五号
東京出版機械株式会社
右代表者代表取締役
篠嵜照雄
本籍
埼玉県浦和市辻六丁目六番
住居
同県同市辻六丁目六番五号
会社役員
篠嵜照雄
昭和一一年一一月二五日生
右の者に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官片岡康夫出席の上審理をし、次のとおり判決する。
主文
被告会社東京出版機械株式会社を罰金一千万円に被告人篠嵜照雄を懲役一〇月に各処する。
被告人篠嵜照雄に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社東京出版機械株式会社は、製本機械の製造販売等を目的とする資本金二〇〇〇万円の株式会社であり、被告人篠嵜照雄は、同会社の代表取締役として、同会社の業務全般に統括しているものであるが、被告人篠嵜は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上繰延べ及び架空・水増しの福材料仕入を計上するなどの不正な方法により所得を秘匿した上、
第一 昭和六三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七四二四万五三六〇円であったにもかかわらず、平成元年二月二八日埼玉県浦和市常磐四丁目一一番一九号所在の所轄浦和税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三六六万一五〇六円で、これに対する法人税額が五六万九四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出してそのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額二九六九万四〇〇〇円との差額二九一二万四六〇〇円を免れ、
第二 昭和六四年一月一日から平成元年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四七二六万三六七九円であったにもかかわらず、同二年二月二六日、前記浦和税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一二七六万六〇九三円で、これに対する法人税額が三九三万九九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額一八四二万八六〇〇円との差額一四四八万八七〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
一 被告人の公判供述
一 被告人の検察官に対する供述調書(五通)
一 佐々木久雄、横山清、仙波昌代、佐藤千恵子、白川光一及び中嶋祥介の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成の製品売上高調査書、期首材料調査書、主材料仕入調査書、繰上主材料仕入調査書、副材料仕入調査書、繰上副材料仕入調査書、架空及び水増副材料仕入調査書、福利厚生費(製造原価)調査書、減価償却費調査書、期首仕掛品調査書、期末仕掛品調査書、支払手数料調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、支払利息調査書、特別償却費調査書、事業税認定損調査書、その他所得調査書、現金調査書及び定期預金調査書
一 浦和税務署長作成の回答書
一 登記官作成の商業登記簿謄本
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官作成の法人税査察更正決議書(昭和六十三年十二月期分)、修正損益計算書(上同)及び修正貸借対照表(上同)
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官作成の法人税査察更正決議書(平成元年十二月期分)、修正損益計算書(上同)及び修正貸借対照表(上同)
(法令の適用)
被告会社の判示各事実はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項に、被告人篠嵜の判示各事実は同法一五九条一項にそれぞれ該当するところ、同被告人についてはその所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で罰金一千万円に処することとし、被告人篠嵜については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を執行することとする。
(裁判官 須藤繁)